番狂わせが面白い☆

予想外の事が起こる日々を楽しんでおります。ゆとり世代共働き1児(0歳)の母です。主に育児の記録、たまに趣味の宝塚感想など。

追憶のバルセロナ 宙組全国ツアー感想

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いやー何とか観られました。
小さい子供がいる以上、地方遠征に行く行動力までは持てず、
たった3日間しかない唯一の首都圏で開催の市川公演に照準を合わせていたものの、抽選は外れるし。
いやはや、観劇できただけでもラッキーでした。(転売入手ではありませんよ。)

お芝居の背景にちょっと思いを馳せる

19世紀にナポレオンの進軍により戦火に覆われるスペイン。
理想を以て語られることの多いフランス革命の負の側面の一つです。
歴史上の中では無名な戦争の一つですが、かの有名な画家ゴヤはその悲惨さをつぶさに描き残しています。

若いころは「日傘」のようなスペインの明るい陽射しに映える生き生きとして華やかな絵画を描いてきたゴヤですが、
この戦争を機に、画風はどんどん暗く重くなります。
あらゆる残虐な場面を克明に描き残した「戦争の惨禍」という画集も発表しました。
そして晩年の作品「我が子を食らうサトゥルヌス」には「戦争の惨禍」で描かれたような、狂気に取りつかれた者の犯す惨劇が描かれています。本当にこの絵は恐ろしいです。

そういうの大丈夫な人はぐぐってみてください。

お芝居の中ではアントニオが、ただただ自分や家族、愛する人の命を守るためにフランスに恭順の姿勢を見せますが、
そう思うのも無理からぬ話でしょう。
フランシスコも軽傷で家族の元に帰っていれば、父母とセシリアを守るためにアントニオと同じことをしたかもしれません。

しかしそうして生き永らえた先に待つ未来はどんな未来でしょうか?
もしかしたら植民地にされてスペイン人は奴隷のような生活を強いられるかもしれない。
そこまで酷くなくてもフランス人が恐怖政治を始めるかもしれない。

そうなったらフランシスコはウバルド兄さんのように(懐かしいw)
「お前は奴隷に変わった」と誰かを責め、「心のどこかで先祖の声が叫んでる騙されるな戦いはまだ終わってない」とか言う未来が来るかもしれない。

そういう不穏な時代の中で生きるというのは、
命を守るための恭順か、自分の誇りやアイデンティティを守るための戦いか、
どちらが正しいかではなく、レオポルドが言うように「自分の選択した通りに生きる。それだけのこと。」
なのでしょう。(台詞違ってたらすみません。。。)

ちなみに、この時代の実在の人物で、
バイレンの戦いでスペイン軍を大勝利に導いた将校フランシスコ、
その後のゲリラ戦を裏で指揮したフランシスコなる人物がいるのですが、
主人公フランシスコはこの辺りの人物がモデルでしょうか。
では何故実在するフランシスコをモデルに、フランス軍に打撃を与える功績をクライマックスに持ってきて、勧善懲悪的なカタルシスを持つラストにしかったのだろう?と考えると、
この物語の主題が見えるような気がします。
戦争での勝利は、敵を打ち負かす事ではなく、一人一人が平和な暮らしを続ける事、だったのかなぁと。

ちなみに超有名な「カルメン」もこの時代のスペインを舞台にしています。

お芝居全体感想

夫が「宙組の全国ツアーなんだっけ...追憶の...バレンシア?」と言ってしまうくらい、バレンシアの熱い花となんか被る。
19世紀初頭のスペイン!貴族の軍人の主人公!同じ貴族の友人と婚約者!
でもイザベラとかいう女の子に惹かれてしまう!
主人公の周囲の人間関係も、カーニバルの衣装や雰囲気も、ヒロインの名前まで既視感がありますが、
重く悲しい悲劇的な最期で幕を閉じるバレンシアの熱い花と違って、
ささやかな幸福感に包まれるエンディングでした。

敵を倒して大団円~!スッキリ!なカタルシスのあるエンディングと同じくらい、
こういうエンディングにも確かな満足感というか、皆良かったねぇ...と幸せな気持ちを覚えるのは年齢のせいでしょうか...。


それから、「怒ってないわよ(怒ってる)」とか「何の話をしてたのか分かんなくなった」とか、
妙にリアル感のある笑えるセリフがちらほらあったのが印象的でした。
オーシャンズの公演の直後だからか、皆笑いの間合いを取るのが上手い!

カーニバルやフラメンコなどのダンスシーンも皆カッコよくて良かったわー。

あとは、結構時間をすっ飛ばしたり、転機となる場面がすっ飛ばされたりするので、行間を読むのがちょびっと大変でした。まぁ行間読むのも楽しいんですが。

真風涼帆さん

最初にこれを書くのかどうかと思うんですが、重症を負ってベッドに横たわっている寝顔が!完璧に美しい!
しかもあれ幕の内側でポーズチェックしてるわけじゃなく、舞台上の場面の流れの中でやってるわけですよね!?
ナチュラルボーンスリーピングビューティーですか?!(意味不)

んで、中盤までのセシリアとの場面も逐一カッコいいのですよ。
セシリアのお父さんも「この青年なら娘を任せて大丈夫!」と太鼓判を押しそうな真面目さ、一途さ。
ロザリオを「片時も離しはしなかった!」と伝えるのも、はーカッコいい。

その後のやり場のない怒りを噛み殺している様子も、セシリアやアントニオへの思いやりがなんとも切ない。
そういえばお父さんからの手紙何が書いてあったんだろう...


それから時折会話の中で見せる「あぁ」とか「うん」などの短い台詞。
多くを語らないのに言外に含まれる空気に相手をどう思っているかよく分かる不思議。

記憶を取り戻した時のイサベラとの会話なんか、「えっ、本人達否定してるけどやっぱあの二人付き合ってんのかな?」みたいな、
奥歯がムズムズするようななんとも言えない空気感が溢れていました。

あとフラメンコ踊るカッコ良さなー!
手を打ちならしながらキメ顔で踊っていただきましてその、ありがとうございます。

星風まどかさん

もー可愛い。超可愛い。可愛いの権化。
昔はこういう「元気な女の子」の役だと、幼さが目立ってしまっていたように思いますが、今回はちゃんと(?)気の強い若い娘に見えました。

最初に目覚めたフランシスコに「良かったねぇ~」を連発し、水を聞き返すのもちょっと阿呆っぽくて可愛いし、
「別に私あんたの事好きじゃないから!」ってツンデレも可愛い。
強がってる割には駆け引き無しに「あんたについていきたい」と直談判する素直さも超絶可愛い。

片想いで終わるのか?!とヤキモキしていたら最後に背中ぎゅっ。ですよ!!

イザベルの一生懸命な想いが実を結んで、
フランシスコも幸せそうで。最高かよもう。

真風さんの6作以上の任期が確定的となりましたので、引き続きまかまどコンビが続いて欲しいなと思います。

芹香斗亜さん

「妻に何をした?!」が個人的に一番ツボでした←
あっ、妻になったの?!ていう軽い衝撃と、優男感の強いアントニオがいきなり見せる男らしさ。良き。

ただやっぱり芹香さんは善人100%よりもちょい悪、もしくはチャラ男の方が似合うなと思いました。
光源氏とかやって欲しいなー

またカレンダー掲載月の発表により、宙組でトップになるとすれば早くても2021年後半ということになりました。
真風さんが一作でも長くトップでいてくれることは嬉しいのですが、芹香さんが待たされる事になるのでちょっと複雑な心情です。いつまで2番手やるん?!みたいな。

学年を見ればトップ就任が2021年になったとしても遅すぎるわけではないのですが。。

来年2020年に東上主演があるかどうか気になるところです。

桜木みなとさん

男臭い役がちょっとずつ板についてきたような。脱・弟キャラ?
ベネディクト役の経験でダミ声の出し方が板に付いてきたのでしょうか。

幕開け最初のダンスも途中の椅子を使ったダンスも、目を惹き付けるものがありました。

あと自然に鞄を持つの!イケメン!アンジェリカのリアクションもめちゃめちゃ可愛い。
あの瞬間にキュン死した人が何人いたでしょうか...。
単純にアンジェリカと相思相愛になるわけではなく、過去の女性を引きずりつつ...という設定がまた...。また...。

和希そらさん

幕開けのダンスシーンが終わって物語が始まる最初の台詞で、物語にスッと引き込んでくれました。
エリザ新公のルキーニ、双頭の鷲や黒い瞳でのストーリーテラーといい、彼女がストーリーテラーをやると「あ、物語が始まる」という感じがします。

その後も従者として笑い所はきっちり取るけども、フランシスコ達がメインの瞬間は出すぎない所が舞台役者としてとても優秀なんだろうなと思います。

華妃まいあさん

ご卒業おめでとうございました!
猫のような瞳にスラリとした美脚、セシリアのような清楚な令嬢も、妖艶な大人の女性も演じられる素敵なジェンヌさんでした。
印象に残っているのは「天は赤い河のほとり」の少女時代のナキアのソロ。王道ヒロインのような可愛いらしさや気品があって、あの子誰だろう?!と目を惹きました。
最期に準ヒロインのような大役で舞台上で可憐に輝いていらっしゃいました!
別れの夜にフランシスコと形見の品を交換し合う姿も、
アントニオに寄り添い立つ姿もどちらもうっとりするような場面になっていました。

寿つかささん

やっぱり宙組の笑いどころにはこのお方が欠かせない!笑
絶妙な小物感とげっそり演技に笑わせていただきました笑


ショーの感想もできれば書きたい!

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