番狂わせが面白い☆

予想外の事が起こる日々を楽しんでおります。ゆとり世代共働き1児(0歳)の母です。主に育児の記録、たまに趣味の宝塚感想など。

壬生義士伝/Music Revolution! 感想

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東京千秋楽のライブビューイングを観てきましたー!
チケット全部外れたものでして...千秋楽が初見ですが、感想を書き残しておこうと思います。

壬生義士伝全体感想

泣けるー(T_T)(T_T)
映画館の客席ですらすすり泣く音が広がっていました。

で、す、が、
吉村貫一郎の何が凄かったの?というのがいまいち伝わりにくい原作のまとめ方だったかなぁという感想。
※個人的な意見です。

同じ浅田次郎さん原作の作品「王妃の館」は原作の設定を大幅に変えながらも、作品テーマの「人生うまくいかなくても笑って生きよう」という軸を一本通した舞台でした。

壬生義士伝の物語の最大の見せ場って、
吉村貫一郎が鳥羽伏見の戦で両手に刀を持って「拙者は義のために戦ばせねばなり申さん。いざお相手いたす。」と啖呵を切って独りで斬り込んでいくシーンだと思うんですけど、
そこに至るまでの伏線がほぼなくて、イマイチ山場になっていない。

貫一郎の人物像も、真面目な侍が家族を養うために新撰組で頑張って稼ぎました、という感じで、それはそれで合ってるんだけどイマイチ何が凄いかの説明になっていない。

そうなった原因の一つは物語の時系列の組み方だと思います。

原作では大阪蔵屋敷で次郎右衛門が吉村に切腹を命じるシーンに始まり、新撰組で馬鹿にされる田舎侍っぷり、金に汚い守銭奴エピソードへ続きます。
そして徐々に家族の事情や人情深く義理堅いエピソードが語られます。

「一見ヒーローに見えないけど、実はこんな事情があって...」という展開で、
美女と野獣でベルが野獣の内面に徐々に気がついて恋をするように、
第一印象最悪からの結構良い奴じゃん...的なギャップに惹かれ、泣かされるはずが、
最初から吉村良い人丸出しなので、
「良い人なのに可哀想な境遇の人だなぁ...なんか悲しい話だなぁ」という感じで終わったのかなぁ、と。


でも時系列を変えた理由も分かります。
ストーリーテラー明治18年、主人公達は幕末と時代をいったりきたりするので、
せめて幕末は時系列順に見せていかないと観客が混乱するのでは?という配慮だと思います。


それにしても宝塚ファンに生々しい切腹シーンを見せる必要あったでしょうか?
あのシーンの意図する所は谷の剣術ダメダメっぷりと、吉村が谷に的確なアドバイスをする真面目さ、暴れる小川を一太刀で斬り伏せる剣の強さを見せる事だと思いますが、
どれも別のシーンで表現できたのでは?
時代劇でああいう生々しい殺陣シーンがないとダメ?そんなわけあるか。
あの場面でぅわっと舞台から心が離れてしまった方もいたのではないでしょうか。



あと仕方ないのですが娘役の出番少っ!
本筋にまるで関係ない芸者さん達の歌&踊り場面も「??」となりますが
娘役の出番の少なさを考えれば致しかたありません。

出演者感想

望海風斗-吉村貫一郎

全体感想でぐちぐちと文句を書き連ねましたが、
登場シーンでの「真面目で真っ直ぐな良い人」新撰組での「守銭奴」など、場面場面で求められる吉村像を演じていたのは流石でした。

思わずみよを抱きしめて「しづ!」と口をついて出たシーンも印象的。
原作ではもうちょい長いエピソードがあるのですが、それをあの一瞬に凝縮したのがめっっちゃ良かったです。


目を細めて優しげに微笑む表情にもどこか薄幸感がありました。(好き)

そして分かっていたことですが歌うっま。
久石譲チックなメロディの「石を割って咲く桜」の二重唱はなんの理屈もなく泣けます...

真彩希帆-しづ・みよ

分かっていたことですが歌うっま。(2回目)
何の障害もなくどこまでも突き抜けていく美しいソプラノ。

お芝居ではしづは真面目でつつましやかな南部の女性、
みよはあどけない都会の令嬢をきっちり演じ分けておりさすがだなぁと思いました。
「ぽたりぽたり」と貫一郎が歌うシーンで流す涙もぐっときましたが、
貫一郎が切腹したと同時に切れた鼻緒に気が付くシーンで
なんとも言えない表情をしていて印象的でした。
夫の身の上に勘づいて泣き叫ぶでもなく、でも何かを想って遠くを見つめる表情。

末の息子に「貫一郎」と名付けたということは、夫はきっともう戻らない事を覚悟していたのでしょう。
ずっと覚悟していたことだから急に取り乱して泣いたりはしないけれども、
本当に永遠に帰ってこない予感に胸が凍り付いたような心境でしょうか。

彩風咲奈-大野次郎右衛門

主人公の一番の親友というポジションながら地味ーーーーーな役所なのが口惜しい...
もうちょっと貫一郎との友情エピソードがあっても良かったと思うし、
大阪蔵屋敷切腹を申し付ける場面にもうちょっと時間をかけても良かったんじゃない...かなぁ...

貫一郎との友情エピソードっても、次郎右衛門の母の面倒を貫一郎が代わりに見ていたのと、
通行手形出してあげただけじゃん?!地味!
唯一無二の親友に切腹を命じるまでにも、とてつもない葛藤があるのに結構さらっといっちゃうし...

上記でも述べましたが、「一見善人に見えない人が実はいい人で、そう見えないのには理由があって...」
という展開が壬生義士伝の大きな泣かせポイントで、この大野次郎右衛門にも当てはまります。
剃刀次郎右衛門と呼ばれる程、頭が切れて自分にも他人にも厳しい、一見冷酷な人物に見えますが、
実は妾腹の子供であるせいで大野家でも家の外でも陰口を叩かれることが多く、
誰にも陰口を叩かせないように常に完璧であろうとしたが故に、剃刀と呼ばれるような厳しい人物になったのです。
実際は心根の優しい人物で、そんな一面を出せるのは親友の貫一郎の前でだけでした。
っていうのがあんまり伝わってこなくて、ちょっと惜しいなぁと。

御差配役に任じられた時に急に雰囲気変わったなという辺りが剃刀ポイントだったでしょうか。

朝美絢-斎藤一

いやー美味しい。実に美味しい役でした。
そして美味しい役をちゃんとモノにしていらっしゃる。めっちゃカッコいいし、客席から笑いも取る。
有名な実在の人物&貫一郎と絡むエピソードも多い&殺陣や戦闘シーンなど見栄えのする出番が多い。
これを美味しい役といわずになんと言おうか。

細かい所で、刀を「右」差しにしていた所にも惑動しました。
武士は普通左腰に刀を差して利き腕の右手で抜くし、左利きであってもそのようにするのが常識でですが、
常識なんかどうでも良い、強ければ良いという斎藤の尖った性格が「右」差しに表れているわけです。
貫一郎と宴会の帰りに「なぜ俺の右側を歩く?」という会話には
剣客同士の駆け引きがあるのですが、それは別の記事に書くことにします(需要あるかな )

彩凪 翔-土方歳三

はあああどんな格好をしても似合いますねぇ。
切れ者の二枚目というピッタリな役所!
トレードマークの「めんどくせえ」はお客さんの反応を受けて隊士達が笑いどころに成長させてしったのかなぁという感じがありましたが、
本人が言うとただただカッコいいですね。

永久輝 せあ-沖田総司

彩凪さん朝美さんとの並びが美形すぎて最高でした。
キラキラ歌って踊りまくる登場シーンで画面越しにも伝わる客席の期待
なんか拍手の圧が違いました笑
朝美さんが黒い色気を垂れ流しているならこっちは白いオーラで圧倒するという感じでしょうか。
でもキラキラ優しい王子様ではなく、ニコニコしたまま人斬りそうで怖かったです(褒めてます)
あと考案された雪組ポーズ!ふつうにカッコいい!
重ねた手で雪の結晶を表していると、ちゃんと組に因んでいるところも良いですね。
定着して何年も経って「あれ私が考えたんですよ♪」って笑顔で言って欲しいです。

凪七 瑠海-松本良順

原作には登場しないストーリーテラー松本良順。
少ない出番、ソロも一曲しか無い中スターっぷりをきっちり見せ付けていただきました。
本番はショーですね!

舞咲 りん-ビショップ夫人

原作には登場しないストーリテラーその2にはビショップ夫人。
って実在した人物イザベラ·ビショップのことかと思うのですが石田先生この漫画読みました?w

彼女が明治18年鹿鳴館にいるはずがないのですが、
気に入ったあまり出しちゃったのかななんて想像してちょっとクスッとなりました。

奏乃 はると-谷三十郎

暗い場面、静かな場面が多い今作の中での道化役。
小物っぷりや剣術ダメダメな演技が笑いを誘い、暗殺されるシーンですら客席から笑いが起こっていましたw
道化役は芸達者じゃないとできないと言われますから、組に一人はこうした道化役のできる上級生がいると頼もしいですね。

綾 凰華-大野千秋

戦場へ向かおうとする嘉一郎に「恩義なんかどうでもいいじゃろうが!」的な事を言って全力で止めるお芝居が熱くて印象的でした。
「おみつどの」と呼びかける台詞も、その後夫婦となる未来を予感させるものでした。
というか子供世代3人組みんなお芝居上手

彩 みちる-みつ(少女)

貫一郎が家族に別れを告げるシーンで、泣くのを堪えている「うっ、うぅっ」という声、映像で映っていませんでしたが多分彼女だったと思います。
舞台上で涙を流すメインキャスト陣の気持ちの持っていき方もすごいですが、嗚咽を必死に堪える嗚咽を舞台上で再現する彼女も凄い。
こんな可愛い娘が泣いているのに、置いて旅立つなんて...辛すぎる...

彩海 せら‐吉村嘉一郎

脱藩者の倅といびられるシーンは原作にはありませんでしたが、残された家族がどんな境遇にあったのか分かりやすくてあって良かったです。
その時の悔しそうなお芝居が、父亡き後に戦場に向かう動機の伏線にもなっていたかなぁと。
それにしても次郎右衛門の「父の仇を討て」に対して「大好きな父上を一人で三途の川を渡らせるわけにはいきません。」
て返答になってなくないか??


Music Revolution

「Music」と題するくらいなので、公演が始まる前はトップコンビの歌唱力を活かして歌いまくるショーかと思っていましたが、
蓋を開ければ組子みんなガツガツ踊りまくるショーでした。
全体的に静かな芝居の反動なのか、 初っ端はっちゃけ!フラメンコもはっちゃけ!ジャズもはっちゃけ!クラシックもはっちゃけ!
でずーっとテンション高い場面が続いてその辺は体感3分でした。

集団ピルエットの振り付けなんか珍しい
ような。
ダンスはあまり詳しくないのですが、
集団ピルエットがあれだけ揃ってるって結構凄くないですか?

後半ではやっぱりトップコンビの歌唱力を見せ付けられました。
真彩さんの銀橋ソロは、ふわりふわりと囁くような歌声で歌い方のバリエーションの豊富さを見せつけ、
望海さんは早口言葉のようなティコティコノフーバを音程も滑舌も完璧に歌い上げ。
すげー。
他のメンバーがテンポに苦戦したんだろうなーという様を聴くと尚更すげー。です。

メンバーもう変わってしまいますが、全国ツアーでも引き続き上演されるので
更なるブラッシュアップをされることでしょう。
そして次の大劇場公演は新作一本物のミュージカル!
ファントムに続く渾身の大作な予感がするので楽しみです。だからチケット当たれ...!!



次回、壬生義士伝の細かすぎて伝わらない背景捕捉、
カットされた美味しいエピソードまとめ
を記事にしたいと思います!
(需要あるのかしら)

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