番狂わせが面白い☆

予想外の事が起こる日々を楽しんでおります。ゆとり世代共働き1児(0歳)の母です。主に育児の記録、たまに趣味の宝塚感想など。

アナスタシア感想 キャスト編

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終わってしまいました千秋楽...!
2019年の暮れ頃に上演が発表されてから1年余り。ロマンチックな大作ミュージカルの上演を楽しみにしながら先行画像を眺めていた頃から長い間心を寄せていた作品も遂に千秋楽を迎えてしまい、若干燃え尽き症候群気味です。

遅筆極まりないですが書きます!キャスト感想!

ディミトリ/真風涼帆

歌いまくってる!めーっちゃ歌いまくってる!難曲!大曲!一体何曲歌うんだ?!ってくらい曲が多い。
その全てをきちんと歌いこなしている!そして細かい表現にも神経を使っている!
めちゃめちゃ歌いこんできたのでは?
真風さんは歌が得意なスターさんではないと思っていましたが、これは歌上手いと言って良いのでは?
というのが最初の感想です。
歌いまわしに独特の癖があるので苦手に感じる方もいるかもしれませんが...。

My Petersburg(俺のペテルブルグ)など、テンポに乗って歌うの結構難しそうに思ってしまうんですが、ソロで歌いこなしていましたし、
Joney to the Pastでワンコーラス終わった後のロングトーンも、おお!?っとなるくらい伸ばす伸ばす。

そして2幕でアーニャと皇太后の謁見をそわそわと待ちながら歌うEverything To Winや、アーニャに別れを告げるリプライズなどはディミトリの心情がお芝居としても伝わる歌で、あーこれぞミュージカル!!という感じで素晴らしかったです。
二人が恋に落ちる瞬間ははっきり描かれないですが、このEverything To Winでは確実に!恋に落ちている!というのが伝わって、大好きです。
というか私は真風さんが片思いだったり後悔だったりで不安な心情になっているお芝居が結構好きなんです←
異人達のルネサンスでカテリーナを独り想う歌とか。
相手の事を真剣に想うからこそ不安になるし、苦しくもなると思うので、いやーそんなに相手の事好きなのかーって所にキュンとくるというか。
そして大体不安を乗り越えて行動を起こすので、そこがまたカッコいいんですよね。
今回は必死にマリア皇太后を足止めしようとする。彼女がアーニャをアナスタシアだと認めれば、アーニャとは離れ離れになることが分かっていても、彼女が求めるHome,Love,Familyのために必死。
自分がアーニャを失うことになっても、ただ純粋にアーニャの幸せを願うことができるのが、彼がプリンスたる理由だよなと感じました。

ただプリンスといっても、ディズニー映画のプリンスのような完全無欠の王子様ではなくて、
ちょっと品がなかったり、盗みも厭わなかったり、マイナス面もあってある意味現実に実在しそうな男性像に近い。
バレエ観劇でも黒燕尾を着てちょっとぎこちなさそうに振る舞っている(真風さんの黒燕尾って見慣れているはずなんだけど)。
それに現実にいる男性のように色々と複雑な面を見せてくれます。
こんな街出て行ってやると言いながら、ペテルブルクで育った半生を誇らしげに語ったり、故郷を離れる時は痛ましいような表情を見せます。(ここの表情はディミトリ、アーニャ、ヴラドの3人が圧倒的に良い表情をしていてスターさんって本当に凄いなと圧倒されました。)
She walks inでも「出会えたらすぐに分かるはずさ」と歌った直後に運命の彼女が現れるのに、全然分かってない笑
矛盾しているようにも見えるけど、でもとってもリアル。

見るからに王子様!な男性じゃなくて、心が王子様な男性っていうちょっと美女と野獣っぽいディミトリさんなんだなと感じました。
いや全然カッコイイんですけどね。真風さんのカッコよさ100の状態よりちょっと抑えてる役作りというか。

......いややっぱカッコいいわ。
2幕最初のParis Holds the Keyの青いスーツとか超カッコイイ。あれパリに来たばっかりのロシア人って嘘でしょう?!
その辺のパリジャンより断然カッコイイやんけ。
パリジェンヌにモテまくってアーニャが嫉妬する未来しか想像できませんよ。

次回作はスーツ姿で大活躍してくれそうな予感なので今から楽しみです!ハイ!

それから、本作の上演が決まる前にブロードウェイで観劇していて、
しかも何作か観劇した中で一番良かった作品と言っていて、
その後「神々の土地」で演じたユスポフ伯爵の宮殿跡に住む役柄って...どんだけ引きが強いんでしょう。

アーニャ/星風まどか

超!ヒロイン!
アーニャも完全無欠なプリンセスじゃなくて、現実感のあるヒロイン。
マリア皇太后との対話、グレブにも一人で立ち向かっているあたり、
アナ雪のような「王子様の助けがなくても自分で立ち上がれるヒロイン」の流れを感じます。
記憶がない、家族がいないことに悲観的になる事もなく、
誰かがパリで待っていることに夢見心地で浮かれるわけでもなく、
パリへ行くことを現実の課題として一歩一歩着実に歩く意志の強いヒロイン。
それだけでなく、人との距離感がうまく取れなかったり、傷ついて八つ当たりすることもあったり。
そんな人物像がありありと伝わってくるアーニャでした。

登場間もなくの見せ場であるIn My Dreamsも細かい表現が丁寧で、沢山歌いこんできたんだろうなと思います(二回目)

それに、真風さん同様ブロードウェイで事前に観劇していて、「神々の土地」で演じた皇女オリガの末妹役なんて...
なんて引きが強いんでしょう(二回目)
ロマノフ家の人物を演じて更に深めたいとおっしゃっていましたが、どこかで縁があると良いですね。

ビジュアル的な面では、茶髪のカツラがとっても好きでした。

グレブ/芹香斗亜

アニメ版では怪僧ラスプーチンの呪いによってロマノフ家が滅び、あの手この手でアーニャを亡き者にしようとするけど、
最期はディミトリとアーニャに倒される、というお話でしたが、
そのラスプーチンの代わりになるように登場してきたグレブという役。
この物語が「歴史上本当にあったかもしれない」と思える現実感を与える役割もあり、
社会主義と資本主義の対立を示唆する役割もあり、
アーニャの障壁となる役割もあるのかな、と感じました。
cha10rashi.hatenablog.com

グレブ自身の信条や、物語の中での役割を理解しようとするのが結構難しい...。
印象としてはレミゼのジャヴェール警部に近い感じ。自分は正義に従って生きていると思ってたのが違うかもしれない、と迷い始め、結局職務を全うできない辺りがちょっと似ているなと思いました。

芹香さんのお芝居はアーニャへの想いを感じる印象でした。
敵役にありがちな、アーニャを独占したいとか、そういう自分の欲望のためでなく、彼なりにアーニャのためを思って色々行動している感じがありました。レニングラードで真面目に慎ましく一市民として暮らして欲しい、それが社会主義国家の中での彼女の幸せだと本気で思っていて、暗殺のためにパリまで追っかけていっても、彼女が改心してロシアに戻る事を期待していたんじゃないかなと思いました。
アーニャからすると余計なお世話極まりないんですが。

だいぶ前のME AND MY GIRL でジェラルドを演じた時でしたか、何かのインタビューで「歴代一番ジャッキーが好きなジェラルド役にしたい」的なことを話されていて、そういう役へのアプローチが本作でも活かされているのかな、とちょっと思いました。
男役としてとっても素敵な役作りだと思います。好き。

ヴラド/桜木みなと

こんな人実際にいたらまぁまぁ怖いな...と思いつつ、
Learn to do it やWe'll Go from thereなどで楽しく盛り上げてくれていました。
ディミトリもおどけたりするけど、アーニャの前ではちょっとクールというかスカしていたりするし、
アーニャも戸惑ったりすぐ突っかかったりするから、ヴラドみたいな盛り上げ役がいないと笑

彼は利害関係が変わったらディミトリやアーニャを結構平気で裏切るんじゃないかとか、
リリーへ近づくのも、マリア皇太后への取次のためで、彼女への愛は何割くらいなんだろうとか、ちょっと勘ぐってしまうんですが笑
(そしてリリーもヴラドが100%自分への愛情で行動しているとは思ってなさそう)
でもソロ曲でディミトリの幸せを願う気持ちだけは本物感があって印象的でした。

マリア皇太后/寿つかさ

まさかの「神々の土地」と同人物の役。
「神々の土地」で孫娘の幸せを願う姿がどうしても被る...!孫娘も同じまどかちゃんだし!!
それでも違う物語の、違うキャラクターとして創りあげられているのが流石だなと思いました。
どっちも気難しい老女の印象ですが、「神々の土地」では自ら政治に関わる権力者としての側面があり、
本作では悲運で孤独な貴婦人の側面を強く感じました。
「アナスタシア」のマリア皇太后は絶対タバコ吸わないと思う笑

アーニャが皇女となるための試練のようでありつつ、彼女自身も家族の愛を再び取り戻すという、第二ヒロイン的存在だなと感じました。

衣装の着こなしやカツラの整え方が実に美しく、肖像画から抜け出したような気品に溢れていました。
また、自室の中に皇帝一家の集合写真や、アナスタシアとの2ショット写真を置いているのがライブ中継でアップにされたのが良かったです。

リリー/和希そら

溢れかえるイイ女感!
有能で美人でモテて、古い時代の詩人なんて知らないわと軽く笑い飛ばし、現実が夢物語ではないと分かった上で自分の信条を以て華麗に生きる。
元カレの前ではチャーミングになって恋に溺れることもできる。
なんてイイ女!
時折出てくる男役らしいドスの利いた声も、大人のイイ女感があって好き。

アーニャがまだ自分の生き方を見つけられずに迷っている若い女性だとしたら、
リリーは自分の生き方を自分で決めて歩いていっている人生充実期の女性、
マリア皇太后は自分の歩んだ道を振り返る時期の女性、という感じがします。

My Petersburgのバックダンサーでキレッキレに踊っているのは何て下級生だ!?と思ったら和希そらさんでしたw
というのも好き。

フィナーレでも女役のままだったのは、潤花さんが関係しているのかなとちょっと思いました。
次期娘役トップであれば、2番手娘役ポジションでフィナーレ群舞で芹香さんと踊ったりするのが順当なんでしょうが、
公演開始当初はまどかちゃんの異動も発表されていなかったので、2番手娘役ポジションに置けなかったのでしょう。
かといって遥羽ららちゃんや天彩峰里ちゃんを2番手娘役ポジションに置くわけにもいかないので、和希そらに白羽の矢が立ったのかな、なんて思います。

少女時代のアナスタシア/天彩峰里

も超可愛い。美少女。
顔も可愛いんですが、声も仕草も、もー可愛い。
最後の場面で、パパと踊りながら、ディミトリとアーニャが踊っているのを見つめているんですが、その笑顔が本当に幸せそうで可愛くてめっちゃ良い。
少女時代のアナスタシアが笑顔で現在のアーニャを見つめているのっていうのがとても良いですよね。

アレクサンドラ皇后/美風舞良

アーニャがオルゴールを開けるシーンのOnce upon a December で美声を轟かせていましたね。ほんと美しい。
「お祈りはしたの?」と厳しく問うセリフがありましたが、お祈りってあれだよな...ラスプーチンに傾倒してるんだよな...と神々の土地を思い出しました。皇太后と仲良くなさそうな雰囲気も神々の土地でのストーリーを思い出しました。

ロッドバルト/優希しおん

バレエの場面は主要キャスト6人が勢ぞろいして代わる代わるソロを歌うわ、それぞれの表情のお芝居も目が離せないわでどこ観て良いか混乱するんですが、視線が強制的に持っていかれるロッドバルトさん。
ジャンプ高ぇ!ピルエット3回転(?)するわ脚の上がる位置がおかしいわで、改めてダンサーとしての能力に圧倒されました。
和希そらとショーでゴリゴリ踊る場面とかないですかね...。



書くのにものすごく時間がかかってしまいましたが、以上キャスト感想編でした。
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