番狂わせが面白い☆

予想外の事が起こる日々を楽しんでおります。ゆとり世代共働き1児(0歳)の母です。主に育児の記録、たまに趣味の宝塚感想など。

学力の経済学 感想

「学力」の経済学

経済誌に載ってて興味を引かれたので読んでみました。
教育本というと、先生や東大生のママなどが子供へ接する時の考え方を語る本が多いイメージがありますが、
この本は"科学的根拠に基づいて"教育方法を考えようという、あまり無いタイプのアプローチをしている本です。

個人の経験ではなくデータで語ろう

世の中で多くの人が子供を育てた経験があり、また全ての人が誰かに育てられた経験があります。
なので自分や自分の子供、友人知人の経験から、良い教育とは〜という事が語られやすい。

私の周囲だと、中学から私立に通っていた友人は「自分の子供も是非私立中に!」と考えていますが、
公立高校へ進学した友人は「公立で良いんじゃない?安いし。」と分かりやすくハッキリ分かれます。
どちらも自分が辿ってきた進路が教育に良いと考えています。
(別にどっちが良くてどっちが悪いというつもりはありません。)

時には、あの子は帝王切開で生まれてきたから我慢ができない子だとか、
母乳で育てていなかったから病弱だとか、
自分の周りの数少ない実例を元にトンデモ理論が生み出されることもあります。


でもそれってただの感想ですよね?


もしそんな理論が本当にあるのなら、帝王切開で生まれた子供と、自然分娩で生まれた子供とを相当数、目の前の誘惑に何分耐えられるか試して比較し、明らかに差が出るはず。
そんな風にして、科学的データに基づいて教育方法の善し悪しを検討しましょうよ、という本です。

子供をご褒美で釣るのはアリか?

「勉強したらお小遣いあげよう」と言ってしまったら、お小遣いのためだけに勉強する子供になってしまうのでは?
なんてことをどの親も考えたことがあるのではないでしょうか。

そんな疑問にも、海外のデータを元に本書では答えを出しています。

ちなみに私は勉強やテストのご褒美に何かを買って貰った事はありませんでした。
きっと親は「ご褒美のために勉強するのではなく、学ぶことの意義や喜びを知って欲しい。」と考えていたのでしょう。
残念ながら勉強嫌いな子供でした(オイ

悪友は貧乏神だという

これは肌感覚で感じている方も多いと思いますが、自分よりちょっとできる子や同じくらいの学力の子供がいるとお互い影響しあって切磋琢磨します。
それもデータによって効果が確認されているようです。

逆に悪友からは悪い影響を受けやすいというのも、データによって確認されているようです。

荒れている学校に子供を入れたくないという親心はあながち間違いではないようです。
この辺りの下りを読んでから旦那が「人気のある学区」に興味を持ち始めました。でもね、そういう地域の不動産価額って大体高いんだよ...。


就学前の学習こそが大事らしい

この本で一番印象に残った点がこちらです。
一般的に高校、大学、大学院と社会に出る直前の教育にお金をかければ将来の子供の収入も上がりやすいと認識されています。
ですが本書では低年齢で教育に投資した方が効果が高いというデータを紹介しています。
低年齢での教育とは、早期の英語教育など学力に繋がるものではなく、「目標に向かって努力する」とか「周囲の人と協力する」といった非認知能力を高めるためのもの。そうした非認知能力を高めることで、学校へ進んだあとコツコツ勉強したり、社会に出た後も仕事に熱心に取り組む大人になるのだとか。

そうした非認知能力を高める教育として、最近モンテッソーリ教育が広がりを見せていて、棋士藤井聡太七段もモンテッソーリ教育を受けていたと話題にもなっています。

根拠になるデータが少ないような気もする

ひとつひとつのお話が主に海外のデータを元に分かりやすく書かれており、説得力があります。
しかし話の論拠がアメリカのデータ一つだけ等、今少し根拠に欠けるような印象もあります。

先ほどの、低年齢から非認知能力を育てる教育が効果的という話も、シカゴ大学の研究業績が根拠になっていますが、調査の対象は123人です。
幼稚園から40年に渡って追跡調査されている点は素晴らしい研究かと思いますが、母数としては少ないのでは?と感じます。

教育では、化学や生物のような実験を行えないので仕方ないのかもしれません。
例えば少人数学級の効果について調べるために、同じ小学校で少人数学級と40人学級を作って学力結果を測るなんて日本ではできませんからね。

ですがゆとり教育のような政策のメリットデメリットを経験や感想ではなく、しっかり検証はして欲しいものです。