歌うまジェンヌとは?
突然ですが、旦那に「この人は歌が評価されてるジェンヌさんなの?ていうか歌が上手いってどういうこと?」と聞かれたので、歌が上手いかどうかの個人的条件を挙げてみました。
技術的要素
フィギュアスケートのように技術面、芸術面で考えてみます。
技術面は才能がモノを言うことも多いですが、努力によって伸ばすことも大いにできる部分かと思います。
華はあるしダンスも上手いけど歌がちょっと...という方でも何年かすると歌が上手くなってトップスターにまで上り詰めたりしますよね。
歌は才能が全てではないと思います。
音程
歌において言うまでもなく重要な要素。
これが不安定だと聴いている方も気になります。
才能があって最初からパーフェクトな人もいますし、厳密な音程はそれを聞き分けられる耳がないと厳しいと思いますが、訓練すれば伸ばすことができるもの!
あ、でも低音が出せるかどうかは完全に才能です。
バイオリンのような弦楽器を見ると分かるのですが、高い音を出すときは弦が短くなるように押さえて音を出します。
低い音は弦が長くなるように押さえて出します。
一番低い音を出すには、弦を押さえず、弦が一番長くなるようにします。
つまり、弦を押さえない時の音がその楽器が出せる一番低い音です。
バイオリンはどう頑張っても、バイオリンより弦の長いチェロの低音は出せません。
人間の声帯も同じようにできています。
声帯を狭めることで高い音をだし、緩めることで低い音を出します。
緩め切った時より低い音はどんなに頑張っても出ません。
低音がどこまで出せるかは、声帯によって決まっているのです。完全に才能。
年齢を重ねると低音が出やすくなったりもします。
一般的には大柄な人の方が声帯が長く低い音をだせると言われているので、背の高い男役さんが低い声を出すのは理に敵っていますね。
それでも海外ミュージカルでもともと男声のキャストにあてられた曲を歌うのは大変だと思いますが...。
リズム
音程と同じくらい重要な要素。
表現の一つとしてわざとズラすこともありますが、それも確固たるリズム感がないとチグハグになってしまいます。
ジェンヌさんはダンスもやってるから、リズム感が無い人はいないと思ってますけど...けど...
滑舌
滑舌悪いと歌詞が聴いている人に伝わりませんよね。伝わらないと観客にはストレス。
お芝居の台詞と一緒です。
それと極端な高音・低音になるとどうしても滑舌よくというのは難しい(高音だと「う」や「お」は言いづらい)ですが、それっぽく歌うことでカバーできます。
でもカバーの仕方が上手くなくて「ん?今何て言った?」となることもしばしば。
劇団四季は全てのキャストがこの点をクリアできるように徹底的に訓練していると思います。
なのでいつでも誰でも教科書を読むようなハッキリとした口調で、何を言っているか聞き取りやすいです。
それがちょっと苦手だったりもするんですけど...ゴニョゴニョ
ハーモニー
デュエットなどでハモることありますよね。特に主演コンビはデュエット多くて、ハーモニーが美しいとうっとりします。
ハーモニーは相手に合わせる能力だと思います。自分のパートのメロディを正確に歌うのは前提として、相手の声量やリズムに合わせられないとチグハグな事になります。時には二人とも歌下手なのかな?って聞こえてしまうことも。
デュエットだと娘役さんが合わせている事が多いかなぁと感じますが、バチバチと歌声を闘わせているように対等に歌ってるコンビだとテンションあがります。
声量・発声
発声が美しく、声量があることに越したことはありません。
それ以上に歌の完成度を左右するかなと思うのが、音の高さによって発声が変化したり声量がなくなってしまうこと。
例にあげてしまって申し訳ないですが、OGのうららちゃんは高い音になると声量は落ちて発声も響きのないスカスカボイスになってしまっておりました。
本当にもったいない...。
いわゆる歌うまさんと言われる方々は、どの音域でも発声の美しさや声量をキープできる方かなぁと思います。
歴代だと姿月あさとさんや安蘭けいさんとか。
どの曲を歌っても安定した声量と響きのある発声で本当に素晴らしいと思います。
でもホント難しい事だと思います。
生まれもった地声の高さは人それぞれで、そこから低音高音に広げていくために喉仏を下げたり裏声を使ったりするわけですが、そうやって意図的に出し方を変えている声を地声に近づけていくのは中々難しいのです。
人によって声が違う以上、ベストなやり方も人それぞれですし。
ビブラートなどの効果づけ
ビブラートをかけるとこの人歌うまーい!と感じやすいです。
使いこなせる人はビブラートをかけながら声量を上げたりできます。正に「歌い上げる」といった歌い方。
これをやると「ぅおおお!良い歌聴いた!」っていう気分になります。
その他にこぶし・しゃくり・フォールを入れるとか、吐息混じりに歌うなど、
歌を様々に彩るテクニックがあります。
習得自体はそんなに難しくないと思いますが、どれだけ使用するかはセンスの問題。
こぶしきかせまくりの演歌シシィなんて見たくないですよね?
芸術的要素
こちらは練習を重ねる事で体得できるテクニックとは違う要素で、作品に合わせて変えていかなければならないものかなと思います。
また、聴く人の好き嫌いが分かれるポイントです。
声質
生徒さんの歌の好き嫌いが分かれる1番のポイントかと思います。
歌が下手と言われるジェンヌさんの歌を聴いてても、歌が下手というか声質がその人の好みに合わなかっただけなのかな?っていう気がする時があります。
楽器によって音色が違うように、人それぞれ持って生まれた声質があります。
また、複数の声質を使い分けることのできる人もいます。
澄んだ鈴のような声、
迫力のある声、
艶っぽい声、
ハスキーな声、
トランペットのように明るく響く声、
コントラバスのように低く響く声。
特に太く男性的な声のジェンヌさん(或いはわざとそういう声を作っているジェンヌさん)は好みが分かれる事が多いかなぁという印象があります。
私は割りとどのタイプも好きです。
ただ役柄によってはイメージに合わない声質があるので、与えられた役によって声質を変化させられる人がいたら凄いなーとなります。
太い声のオスカルやフェルゼンって嫌だし...
逆にアランは太い声の方が良い。
とか。
曲の構成力
今まで挙げてきた歌の要素を、曲の中でどう組み合わせるか、これも大切なポイントかと思います。
どんな声質で歌うか、
どの部分を盛り上げる(声量を上げるとか)か、
ビブラートはどこでどのくらいかけるか、
テンポはどのくらいにするか、
リズムに緩急をつけたりわざとずらしてみたりするか。
などなど、などなど......
それらの組み合わせによって歌の印象も大きく変わります。
そして人によって好みが分かれます。
私トート閣下の歌でビブラートがんがん効かせて朗々と歌い上げるの好きじゃないんです。「死」ってそんな堂々としてるもん?と思っちゃう。
色んなパターンを試し、何が一番作品の中で生きるのか、自分をより良く魅せられるのかをひたすら探っていく作業。
そしてベストな歌い方を毎公演できるように身につけていく訓練。
何曲も歌うスターさんは本当に大変ですね...
どこまでいっても完成しないものですが、やり過ぎると喉を壊すのでどうか自愛していただきたいものです。
歌ごころ
椎名林檎さんの言葉に
「歌には上手い下手などなくて『歌になっているかなっていないか』があるだけなのではないか」
という言葉があって、本当にその通りだなぁと思っているのです。
どういう事やねんて言われても、他の言葉に言い替えるのが難しいのですが、、
何というか、聴いている人の心をちょっとでも動かせるかどうか、かなぁと思います。
楽しくなるとか、
役の心情に共感して悲しくなるとか、
勇気が出てくるとか、
ただただ美しいと感じるとか。
どんだけ音程やリズムを正確に声に出しても、歌になっていないものは人の心を動かせないのかなぁと。
電子音の着メロは音程もリズムも正確ですが、それ聴いても泣きませんよね?
(好きな人からのメールとか、思い出の曲でメロディ聴いただけで泣けるとかそういうのは除いて)
ボカロはどうなんだって言われると難しいんですけど...。
歌が上手いというのは一言で「こんな人!」と言えないのですが、色々挙げてみた要素を満たしている人なのかなーと私は考えています。
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